コンドロイチンの真実 - 丸共バイオフーズ株式会社

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コンドロイチンの真実
このコーナーでは、真贋様々な情報が飛び交っているコンドロイチンについての真実を、最新の研究成果から科学に基づいた事実をまとめていきたいと思います。


はじめに、コンドロイチンとは何でしょうか? 少し復習をしてみましょう。

1、コンドロイチンの正式名は、「コンドロイチン硫酸」です。

2、コンドロイチン硫酸は、「糖鎖」である。

3、コンドロイチン硫酸は、軟骨に多く含まれるが、生体のほぼあらゆる部分に存在している。

4、コンドロイチン硫酸は、ヒトの消化器官が出す酵素では分解できない。

5、コンドロイチン硫酸は、グルクロン酸と硫酸化されたN-アセチルガラクトサミンとが交互に結合して繋がった、鎖のような形をしている。

6、コンドロイチン硫酸は、動物に特有の成分で植物には無い。

7、生体内ではコンドロイチン硫酸はタンパク質と結合して存在し、これを学術的にはプロテオグリカンと呼ぶ。

8、コンドロイチン硫酸は通常、分子量が数万~十数万の高分子物質である。


 
 
第1章 これまでのコンドロイチン硫酸
コンドロイチンの有効性については、多数の論文があります。例えば、2011年にアメリカ国立衛生研究所(NIH)がまとめた、NIH Public AccessAuthor Manuscript Osteoarthritis Cartilage. などがあります。

この論文では、コンドロイチンの有効性に対しては否定されています。
この論文にかかわらず、コンドロイチンの有効性は否定されているものが多いのが事実です。
健康食品の安全性と有効性情報 (国立栄養・健康研究所)にも、「効果がある論拠は見当たらない。」とされています。

そのため、これまでは「コンドロイチンは飲んでも意味がない」という見方が生まれており、これまで発表された科学的論文からは当然であると考えます。

ではなぜ、このような結果となってしまっているのでしょうか?

その答えは、すべて、吸収されないコンドロイチンを用いた研究であったからです

コンドロイチンは高分子であり、ヒトの消化酵素では分解されない為、腸管から吸収されないのです。

吸収されないものを飲んでも効果が無いのは当然です。
頭痛薬を飲んでも、それが吸収されなければ効果が無いのは当然ですよね!

こんな当然のことが、なぜ長い間、科学者達に無視されてきたのでしょうか?

実は、無視されたわけではなく、「出来なかったから、それしか選択肢が無かった」というのが真実かもしれません。

良識のある科学者達は、もちろんこれを何とかしようとしましたが、できませんでした。

コンドロイチン、ヒアルロン酸のようなグリコサミノグリカンと呼ばれる一群の糖鎖は、ヒトの消化器官が出す消化酵素では分解されないのですが、細菌などの微生物にはこれを消化するコンドロイチナーゼという酵素を持っているものがあります。

この細菌のコンドロイチナーゼを使って、低分子化する技術は実験室では広く行われていました。しかし、この酵素を製造することは非常にコストがかかり、とても工業生産に用いる事ができるものではありませんでした。

また、酸分解法や光触媒を用いる方法なども研究されましたが、様々な理由からやはり工業化はできませんでした。
このように、コンドロイチンの低分子化は困難を極めたため、コンドロイチンを低分子化した物質(コンドロイチン硫酸オリゴ糖)をヒトに投与するなどということは夢のような話しでした。

コンドロイチン硫酸オリゴ糖は、研究試薬としては販売されていましたが、わずか1mgで16000円(1kgでは160億円!)もするほど高価なものだったので、とてもヒトに投与する研究などできなかったのです。

たとえば、ヒトに1日10mgを1か月間投与する研究をするとすれば、10mg×30日×16000円=4,800,000円 となります。これを投与群とプラセボ群各10人、合計20人で行った場合は、試薬代だけで9600万円もの研究費が必要となります。

また、仮に何とか資金を集めて研究開発ができたとしても、量産できなければ事業としては成り立ちません。

これが、コンドロイチンの有効性の研究が進まず、とりあえず吸収されない高分子コンドロイチンを投与した研究をせざるを得なかった大きな理由なのです。
そしてもう一つ重要なのは、「コンドロイチンは何となく効果がありそうな成分」であった事も、とりあえず吸収はされなくとも有効性は示されるのではないか?と考えられたことです。

生物の軟骨組織は何とも神秘的な組織であり、サメやクジラ、牛などの軟骨から抽出される、非常にネバネバした物質は何らかの有効性があるに違いない、と考えさせられるには、十分魅力的な物質であったのです。

さらに、近年では高分子のコンドロイチン硫酸を用いた細胞レベルでの試験も行われるようになり、分析技術の進歩とあわせて、細胞における様々な有効性が示されることも、コンドロイチン硫酸の研究を後押ししました。
かくして、コンドロイチン硫酸の研究には各国で、官民あわせ莫大な研究費が投入されたのですが、冒頭で述べたように白とも黒ともつかない曖昧な結果で終わったのです。
 
 
第2章 コンドロイチンを飲んだら軟骨に届けられる???
インターネット上には多くの間違った情報があります。
最近、某社製品のPRページで、「プロテオグリカンを飲んで、その成分が軟骨に届けられます!」という、おそろしく非科学的なものがありました。

以前、ある著名な研究者がサプリメントの効果効能に否定的な発言をしており、「髪の毛を食べたら髪の毛が生えるのか?(そんなはずは無いでしょう。)」と言っておりました。

言葉の意味としては全く正しいもので、髪の毛を食べたところで、それがそのまま髪の毛にはなりません。 しかしながら、この科学者は大きな勘違いをしております。そもそも、サプリメント(食品成分)とは、髪の毛を食べる=髪の毛が生える、皮を食べる=皮膚になる、目玉を食べる=目玉になる、などどいうレベルのものではまったくありません。
皆さまもお気づきと思いますが、目玉を食べて目玉が出来たら、再生医療なんか必要ありません(笑)。

なぜそんなバカげた話しがでてくるのかと言いますと、先の科学者を含めみんなが「消化と吸収」ということを忘れてしまっているからです。
生き物はすべて、食べたものを消化し、分子サイズに小さくしてから吸収し、体内の各器官に送りそこで利用します。

小さくしなければ、そもそも血管を通じて体の隅々まで届けることが出来ません。生物は吸収した分子を再構築することによって、様々な機能を持った、自身に必要な分子を作り出すことができるのです。
レゴブロックは小さければ小さいほど様々な形を作ることが出来るのと同じです。

例えば、生体を構成する原子は金属類を除けば、わずか6種類(水素H、窒素N、炭素C、酸素O、リンP、イオウS)程度しかありません。しかし、そこから作られる分子の種類は原子の順列組み合わせによって無限に作ることができます。
そして、一般的な分子も十分に小さなサイズなので、その順列組み合わせによって、原理的には無限の素材を作り出せます。
でも、一度、筋肉や骨などになってしまったもの(高分子物質)は、もう一度バラバラに小さくしなければ、再構築できません。
すなわち、高分子物質は消化吸収というプロセスを経て、はじめて再利用することができるようになるのです。
(再利用とは、食べたものがエネルギーとなったり、身体を形作ったりすることです。)

では、食品の大きさとは何でしょうか?
例えば、ご飯の最小単位は1粒の米ですが、そのままでは吸収されません。そこで、まず歯で物理的に小さくかみ砕きます。次に、唾液のアミラーゼがお米に含まれるデンプンを消化することで、化学的に水溶性のより小さな分子、マルトースやデキストリンに変換します。
分子レベルといっても、高分子から低分子までその大きさはさまざまです。
分子量が数百万のタンパク質から、数百程度の単糖やアミノ酸、数十のミネラルまであります。
ちなみに、水の分子量はわずか18です。

ここで、胃腸から吸収される分子のサイズはどのくらいでしょうか?
一概には言えませんがおおよそ数千以下で、万を超えるサイズのものは特殊な形態を除いて吸収されません。

まわりくどい話しとなりましたが、高分子のコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、プロテオグリカンといった大きな分子サイズの物質は、ヒトの出す消化酵素では消化も吸収もされません。


追記

髪の毛はケラチンというタンパク質ですが、ヒトの消化器官ではこれを消化するケラチナーゼは分泌されていません。したがって、髪の毛はほとんど消化吸収されません。

食品成分とは突き詰めるとすべて化学物質で、様々な分子の集合体です。これらの分子はある特徴から、いくつかの種類に分けられます。
その大分類が、タンパク質、脂質、糖質、無機塩(ミネラル)、で、他に核酸があります。

この中で、互換性のあるものと、そうではないものがあります。タンパク質は糖質に、糖質は脂質に、というように変換されることが出来ます。
しかしながら、互換性の無いものは必須栄養素であって、必ず食べて補給しなければなりません。
よくご存じの、必須アミノ酸、ある種のビタミン、ミネラル類などは互換性の無いものの代表です。

 
 
第3章 吸収されるコンドロイチン硫酸:コンドロイチン硫酸オリゴ糖の登場
よく「細胞試験の結果で効果があった」というデータが広告などで記載されている事があります。確かにその結果自体は間違いではないのかも知れませんが、よく考えてみてください。ヒトの身体では、何らかの成分を細胞に届けるためには、消化・吸収というプロセスが必要です。どんなに素晴らしい成分であっても、口から入って細胞へ届けるためには、消化・吸収されるものでなければなりません。

医薬品ではこのプロセスを極めて厳密に設計しています。(吸収動態といいます)飲んで効果を発揮させるには、その成分が血液中に取り込まれなければなりません。飲んでもダメな成分は、静脈注射などで直接血液中へ送り込む方法をとります。

一方、サプリメントはどうでしょうか? 冒頭で述べたように、細胞試験で効果があったものであっても、吸収動態まで記載しているものは見当たりません。実験室では、細胞に直接成分をふりかけることが出来るので、吸収動態を気にする必要はありません。しかしながら、飲んで効果を発揮させるには、「その成分が吸収されるのかどうか」を確認しなければなりません。

仮に、細胞試験で素晴らしい効果があったとしても、飲んで吸収されなければ、その成分には何の意味もありません。サプリメントは注射するわけにはいかないのですから。

動物試験やヒト臨床試験においても、同じことが言えます。たしかに、ヒト臨床試験で有効性が認められたのなら、吸収されようがされまいが、どうでも良いのではないか、という意見もあります。しかし、それでは有効性のメカニズムを全く説明できません。

かくして、健康食品・機能性表示食品・特定保健用食品を問わず、市場において吸収性をきちんと研究しているものは、残念ながら見たことがありません。(当社製品を除いて)


さて、2006年より私たちの研究チームは、吸収されない高分子物質であるコンドロイチン硫酸を何とか低分子化し、吸収されるコンドロイチン硫酸オリゴ糖にできないか、という課題に取り組み始めました。

難消化性高分子糖鎖であっても、化学的に酸加水分解されることはすでにわかっていました。例えば、塩酸で処理すれば低分子化するのです。しかしながら、この方法ではコンドロイチン硫酸を構成する硫酸基が脱落してしまい上手く行きませんでした。

そこで我々は、水の性質を利用した分解方法をトライしてみることとしました。水はとても不思議な物質で、高温高圧条件では固体でも液体でも気体でもない超臨界状態となります。この状態の水は、酸の性質が強くなったり、油とも混ざるようになります。この高温高圧状態の中に高分子コンドロイチン硫酸を入れてやれば、分解できるのではないか? との発想で実験を重ねた結果、見事に低分子化反応が起こっていました。

しかも、使っているのは水だけなので、室温大気圧に戻してやれば良いだけです。つまり、水に高分子コンドロイチン硫酸を入れてから超臨界状態にしてから冷やしてやれば、それだけでコンドロイチン硫酸オリゴ糖の水溶液が出来上がっていたのです!
さらに、詳細な構造解析を行ってみると、塩酸加水分解では構造が壊れてしまっていたような事も起こっていませんでした。

この低分子化技術は、現在はマイクロ化学プロセス処理と呼んでおり、2013年に特許も取得しました。とは言え、実験的にできたとしても工業生産を行う事は簡単ではなく、まだまだ長い技術開発の時間がかかりました。

世界で初めて、コンドロイチン硫酸オリゴ糖の工業生産に成功した事で、糖鎖を健康に役立てる事ができる本当の時代が来たのだと思います。
なぜなら、コンドロイチン硫酸オリゴ糖は飲んで吸収されるのですから!

丸共バイオフーズでは、「糖質科学と健康長寿を結ぶ」をモットーとして、この素晴らしい成果をぜひ皆様にお届けしたいと考えています。

※医薬品に使用されているコンドロイチン硫酸と、健康食品に使用されているコンドロイチン硫酸に科学的な違いはありません。同じものです。従って、医薬品だから効く、などということはありません。但し、いずれも高分子なので飲んでも吸収されません。吸収されるコンドロイチン硫酸はコンドロイチン硫酸オリゴ糖だけです。
 
 
第4章 コンドロイチン硫酸オリゴ糖は、本当に吸収されているか?
血中コンドロイチン硫酸オリゴ糖の検出への挑戦!!
2018年、NEDOおよび北海道立総合研究機構工業試験場の支援を受けて完成したファインケミカル研究所のマイクロ化学プロセス処理装置によって、いよいよコンドロイチン硫酸オリゴ糖の大量生産がスタートしました。この製造プラントは、世界で初めてコンドロイチン硫酸オリゴ糖の大量生産を可能とした画期的なものでした。これは現在も順調に稼働しております。

一方、研究室では難問に直面していました。すなわち、食べたコンドロイチン硫酸オリゴ糖は本当に吸収されているか? という問いへの証明が完全ではなかったからです。以前の2回に渡るラット反転腸管を用いた試験で、確かに高分子コンドロイチン硫酸は吸収されず、コンドロイチン硫酸オリゴ糖は吸収されていました。しかし、これだけでは、食べたものが吸収されるかどうかの証明にはなりません。

そこで、次にラット食べさせて血液と尿を採取し、分析してみることとしました。その結果、食べさせてから24時間以内の尿中でコンドロイチン硫酸オリゴ糖が検出されました。一方、高分子コンドロイチン硫酸とプロテオグリカン投与群では、尿中にコンドロイチン硫酸は検出されませんでした。

このことは、ひじょうに沢山の情報を与えてくれました。

結果
1,コンドロイチン硫酸オリゴ糖は、経口摂取で血中へ吸収・利用され、余剰分は尿として排出される。

2,高分子コンドロイチン硫酸とプロテオグリカンは、吸収されない。

考察
1,ラットは雑食であるが基本的に草食であるため、大きな盲腸を持ち食物繊維(セルロース)を分解できる腸内細菌叢をもつ。
   そのため、高分子コンドロイチン硫酸とプロテオグリカンも盲腸では分解されているはずである。
   しかしながら、吸収されていないのは、分解されたものがすぐに腸内細菌に食べられてしまうからである。

2,ということは、コンドロイチン硫酸オリゴ糖であっても、盲腸では分解されて細菌に食べられてしまい、吸収されないはずで
  ある。しかしながら、コンドロイチン硫酸オリゴ糖は尿中に検出される。

  このことは、コンドロイチン硫酸オリゴ糖が盲腸よりも胃に近い部分の腸内細菌が非常に少ないか居ない部分(上部消化管)
  で吸収されていることを示している。

3,すなわち、ヒトにおいては大腸よりも前に位置する小腸以前で吸収されると考えられる。
  (大腸まで行ってしまうと、腸内細菌に食べられてしまう。)

なかなか面白い結果ですね!
そして、我々はいよいよ血液中のコンドロイチン硫酸オリゴ糖の定量にチャレンジしました。
これがものすごく大変でした!
血液中のコンドロイチン硫酸オリゴ糖の検出

血液中のコンドロイチン硫酸またはコンドロイチン硫酸オリゴ糖を分析した過去の論文はいくつかありますが、残念ながらその方法が確立されたものは見当たりませんでした。論文にかかれている方法をそのまま試しても、良い結果が得られないのです。

まず問題は、血中のコンドロイチン硫酸またはコンドロイチン硫酸オリゴ糖の量が極めて微量であること。求められる検出感度は、ng/mL ~ pg/mL (1ミリリットルあたりナノグラム~ピコグラム)のレベルです。
ちなみに、1ng/mLとは、オリンピックプール(水量2,500,000L)に、わずか2.5g(小さじ半分)の物質を溶かした極めて薄い濃度です。  
これをどうやって検出するか?

さらに大きな問題は、血液中にはビクニンと呼ばれる糖タンパク質が0.5mg/mLという濃度で多量に存在しており、このビクニンには分子量が6000のコンドロイチン4硫酸鎖が結合している。
そのため、経口投与されたやコンドロイチン硫酸やコンドロイチン硫酸オリゴ糖の血中濃度を測定する場合は、ビクニンのコンドロイチン硫酸を除外して分析しなければなりません。

さてどうするか?

 
 
第5章 細胞試験の結果は真実か???
様々な薬品や食品成分の効果効能を検証するために、細胞試験が実施されています。
培養細胞に検査したい成分を添加し培養し、遺伝子発現の変化や産生される物質量を分析し、その成分にどのような効果があるか比較的簡単にわかります。
当社研究所でも有効性の検証に利用しています。

実際に、ポリフェノール、脂肪酸、糖質、糖タンパク、コラーゲン、血液成分、様々な抽出エキス、・・・などなど、を用いた細胞試験の結果がネット上でも見受けられます。

よく見るのが、「細胞試験で○○エキスがIL-1βを減少させた、よって○○エキスはアレルギーを改善する」とか、「細胞試験で○○ポリフェノールの抗酸化作用を確認、よって○○ポリフェノールはアンチエイジングに有効」とか、「細胞試験で○○グリカンはヒアルロン酸の産生を促進した、よって○○グリカンは肌の老化を防ぐ」などなどです。

しかし、注意してください。
これらの試験結果自体は正しいのかも知れませんが、果たしてこれらを食べたとき(経口投与)に同じ効果が得られるのかの証明には全くなっておりません。

それは、ドラッグデリバリー(体内動態)を無視しているからです。

細胞試験では、シャーレ上の液体中で成分が直接的に細胞に接触することができます。
しかし、その成分を食べたときに、口から入った成分が細胞に接触することができるでしょうか?

口から肛門まで続く消化器官から体内の細胞に届けられるためには、必ず血液中に入る必要があります。血液中に入らなければ、どんなに細胞試験で素晴らしい効果があったとしても何の意味も無いのです。(注射するしかありません。)

ネット上での細胞試験の結果を見る時には、必ずその成分が消化管から吸収されるかどうかをセットで確認してください。
 
 
第6章 血液中のコンドロイチン硫酸オリゴ糖の検出
血液中には実に様々な物質が存在しています。ここでは省きますが、血液の細胞外水分は50%程度しかありません。(55%を占める血漿の90%が水分ですが、45%は赤血球などの細胞成分。)
肉や魚の水分は60~70%と考えると、かなり固形分濃度が高いものであることが分かります。すなわち、ドロッとしているのです。
このように、血液には沢山のタンパク質、糖、脂質などが存在するため、外部から血液中にとりこまれたわずかな量の物質を定量するためには、まずはこれらを分離する技術が必要となります。
しかしながら、吸収されたコンドロイチン硫酸オリゴ糖は、1mLあたりせいぜい数百ナノグラム(1ng=0.000000001g)オーダーであるので、多量に存在するアルブミン、抗体、血糖、など数えきれない物質から分離することは、これまでたいへん困難でした。
(これまで、いくつかの論文が存在していますが、その検出量が多すぎることから(μgオーダーと報告されています)、我々はかなり信憑性に欠けると考えています。)

我々の研究チームは、血液を有機溶媒で処理し、イオン交換膜による捕捉、酵素処理、蛍光標識など多くの分析手法を組み合わせて、蛍光検出器を備えたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で、血中の外因性コンドロイチン硫酸オリゴ糖を正確に測定することに成功しました。

これによって、経口摂取したコンドロイチン硫酸やコンドロイチン硫酸オリゴ糖がどのように吸収されているのかが、世界で初めて明らかになりました。
それは、これまで、経口摂取できるほどの量のコンドロイチン硫酸オリゴ糖を作成できなかったことも一因ですが。

経口摂取されたコンドロイチン硫酸オリゴ糖は、腸管吸収されて血中移行し、投与から3~5時間で血中濃度がピークとなり、10時間程度で消失することがわかりました。そして、吸収される大きさは、おおむね10糖(分子量2500)以下であることもわかりました。
一方、従来型の高分子のコンドロイチン硫酸は予想通り、血中では検出されず、吸収されていないことが分かりました。

この成果は、学術論文 Mizuta, et al,  Quantification of orally administered chondroitin sulfate oligosaccharides in human plasma and urine, Glycobiology, 2023;, cwad054, https://doi.org/10.1093/glycob/cwad054  にて発表されています。
 
 
第7章 口から入ったコンドロイチン硫酸オリゴ糖の運命
口から入ったものは、胃、小腸、大腸を経て肛門から排出されます。その間に、食物は胃酸や消化酵素の働きで分解され、それぞれの構成分子かそれに近いレベルまで小さくされてから吸収されます。
水、ミネラルなどのもともと小さな分子は、そのまま吸収されます。

一方で、食物繊維(セルロース)など、消化も吸収もされにくい食物もあります。セルロースはグルコースからできているので、もし消化吸収できれば良いエネルギー源となるのですが、ちょっと残念ですね。

ところが、ヒトはエネルギー源として利用できないセルロースであっても、草食動物はこれを食べて生きることができます。草食動物はセルロースを分解する酵素を持っているわけではありませんが、代わりに腸内細菌がセルロースを分解してくれるので、生きていく事ができます。

但し、腸内細菌は宿主のためにセルロースを分解しているわけではなく、自分がグルコースを欲しいので分解しているだけです。そして、腸内細菌が利用しきれなかった余りを宿主がもらっています。ですから、このエネルギーとしての効率が悪い食物を利用するため、草食動物の消化管は長く独特の形状をしており、大量の植物を必要とします。

長くなりましたが、ポイントは「自身がその食べ物に対する消化酵素を持っていなくとも、腸内細菌が代わりに分解してくれる」ことがあるという事です。

コンドロイチン硫酸やプロテオグリカンを分解する消化酵素が無くても、腸内細菌が分解してくれれば良く、実際に特定の腸内細菌叢を持つヒトへの経口投与試験では高分子のコンドロイチン硫酸によって、血中濃度の上昇が確認できます。

しかしながら、先にも書いたように、腸内細菌は自らが利用するために、コンドロイチン硫酸を分解するのであって、ヒトのために分解しているのではありません。そのため、腸内細菌が食べきれないほどの大量のコンドロイチン硫酸を食べなければ、そのような現象が起こりません。市販のサプリメントに含まれているような量程度では、そのような現象は起こらないのです。

さらに、腸内細菌が分解してできるコンドロイチン硫酸オリゴ糖は、非還元末端C4-C5に二重結合をもつ不飽和オリゴ糖となります。我々の研究では、この不飽和オリゴ糖は細胞毒性があることが分かっています。

当社で製造するコンドロイチン硫酸オリゴ糖は、加水分解反応で製造されるため、すべて飽和オリゴ糖となっており細胞毒性はありません。
 
 
第8章 コンドロイチンが含まれている食品
    (ネット上の情報は間違いだらけ)
よくTVCMで目にする某大手健康食品メーカーのサイトに、以下の誤った記述が堂々と記載されていました。

2.コンドロイチンを含む食品
コンドロイチンを含む食品は鶏の皮や、牛、豚、鶏などの軟骨、甲殻類の殻などがあります。また、納豆やおくらといったネバネバした食品にもコンドロイチンは多く含まれます。

なんといい加減な記事でしょう! 
あれほどTVCMで健康食品を販売していながら、このような初歩的な知識も無いのかと思うと、健康食品が信用されにくいのも無理はないと思ってしまいます。

声を大にして言いますが、納豆、オクラ、山芋にはコンドロイチンは存在しません。
ネバネバしていれば全部コンドロイチンということはありません!
コンドロイチンは動物に特有の成分で、植物にコンドロイチンはありません。

ちなみに、納豆のネバネバ成分はポリグルタミン酸、オクラ、モロヘイヤ、山芋などは、ペクチン、ガラクタン、グルコマンナンなどの糖鎖です。
 
 
第9章 ついに辿り着いたコンドロイチン硫酸オリゴ糖の効果の正体
    ~ なぜ普通のコンドロイチン硫酸は効果が無いのか
なぜ、普通のコンドロイチン硫酸やプロテオグリカンは効果が無いのか? くどくて申し訳ありませんが、経口摂取しても吸収性が無いからということは、何度も書いています。つまり、分子量が大きく消化できないものは、血液中に取り込まれることが無いのです。

一部に、小腸M細胞から取り込まれるとの仮説がありますが、M細胞は腸管免疫における抗原提示物質を取り込むもので、ここから入ったものが血中濃度を上げるほど取り込まれることはありません。そんなことがあったら、人は生きていけなくなります。

理由1
普通のコンドロイチン硫酸やプロテオグリカンは、血中に移行できないので細胞に届かないから。

次に、これは最新の驚くべき研究成果に基づくものですが、コンドロイチン硫酸オリゴ糖はNrf2を活性化し、抗酸化応答配列依存性の細胞保護性遺伝子群の発現上昇を通じて、細胞保護性タンパク質の酸性を強力に促進することがわかりました。
一方、普通のコンドロイチン硫酸やプロテオグリカンにはその作用が見られませんでした。

このことは、コンドロイチン硫酸オリゴ糖の機能性の根幹をなすものであると、長年の研究によってようやくたどり着いたものです。
代表的な細胞保護性タンパク質に、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)があります。HO-1の作用は、多くの論文で発表されております。以下にその一部をご紹介します。

ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)は破骨細胞形成と骨吸収を抑制する。
  https://doi.org/10.1096/fj.05-4278fje

ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の上昇は、肥満、高血圧、血管疾患などを改善する
  https://doi.org/10.1016/j.abb.2019.108073

ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)は、心筋梗塞後のリモデリングを阻害し、心室機能を回復させる。
  https://doi.org/10.1096/fj.05-4435com

HO‐1の過剰発現はTNFR1依存性酸化ストレスの減弱によるTNF‐α媒介性気道炎症から保護する。
  https://doi.org/10.2353/ajpath.2009.090016

NRF-2/HO-1シグナル伝達軸:心血管疾患における希望の光
  https://doi.org/10.1155/2020/5695723

すなわち、HO-1レベルの上昇は生体にとって非常に有益であると考えられます。
そして、コンドロイチン硫酸オリゴ糖は細胞に届いて、Nrf2の活性化からHO-1遺伝子の発現上昇を行い、実際にHO-1タンパクの産生を増強するのです。

理由2
普通のコンドロイチン硫酸やプロテオグリカンは、Nrf2を活性化せず細胞保護性タンパクの産生を増加させないから。
 
 
第10章 コンドロイチン硫酸の明るい未来
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